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フランス、チュールのポストメタルがCovid-19の流行の中、制作を行い完成させた2020年アルバム。前作同様にバンドが自ら録音からミックス、マスタリングまでを行っているようだ。デビューアルバム『Etter Lys』同様に、本作でも生命体が文明的な悪夢に直面する際の困難、試練をテーマにしたコンセプトを持っているが、その意味するところは『Etter Lys』制作時とは全く違ったものになっていることは明白だろう。現実が人間のイマジネーションを凌駕した2020年、本作『Siste Lys』はよりリアリティを持った問いを提示する。圧倒的な轟音、そして緻密に練り上げられたサウンドプロダクション、現段階では数曲しか公開されておらずアルバムの全容を計り知ることはできないが、全くコンセプト負けしていない狂気的な緊張感を描く演奏。自らを閉じ込める監獄を打ち破ろうとする物語は果たして何のアナロジーなのか。これはファンタジーのメタルじゃない。